アンジャッシュ渡部になりたい

シェアする

 

実は以前から見習っている芸人さんがいます。

・自分の勝てない部分とは違うところで活動(つまり勝てるところで活動)

・お客さんが求めていることをやる

・他の芸人がやっていないことをやる

こんなことを実践した結果、今ではトップクラスの芸人にのし上がっているアンジャッシュの渡部さん。

ここまで自分を客観視できる芸人がいたでしょうか。すごくご自身を俯瞰していらして、戦略の立て方が芸人ではなく経営者ですね。例えて言うなら「株式会社アンジャッシュ渡部」の社長。個人的にはとても素敵なワークスタイルを選ばれているな、と思っています。

どうもこんばんは。稲垣です。

例えば、このインタビュー

『ダウンタウンのごっつええ感じ』のような、何組かでユニットを組んで、コントや企画をやることが夢で。

でも、10年ぐらい前にコンビでの仕事がほとんどなくなって、なりふり構っていられないぐらい苦しかったときに、自分たちの思い描く理想のメインストリームに乗ることは『どうやら無理だぞ』と。

それならもう割り切って、オファーがあれば個人ででもいいから、できることをお互いに一生懸命やろうと話し合いました。

http://style.nikkei.com/article/DGXMZO16072010Y7A500C1000000?channel=DF280120166614より引用

その後に「お笑いの才能で同世代と戦うのはやめよう。」と続けているんですが、“お笑い芸人がお笑いの才能で戦うのをやめる” という試みがすごい。

だって、彼だって自分のお笑いの才能やセンスを信じてここまでやってきたのでしょうし、実際にプロとしてテレビで活躍するレベルの才能やセンスといった類の能力があったはずです。

普通ならそこまで頑張ってきたことなのだから、【お笑い】で負けたと感じたら、『もっと面白いネタを作ろう!』とか『新しいギャグを考えよう』なんて考えてしまいそうですよね。

「笑いの才能で戦うのはやめる」とバッサリ切れるのはすごい(そして相方をなんとも思っていなそうな発言の数々もすごい 笑)。

もちろん、自分の才能に固執する考えがいけないワケではないですが、個人的にはこの決断をくだせる “客観性の高さ” と切り替えは素晴らしいと感じます。

客観性というのはつまり【徹底的に相手目線になる】ということで、これはとても非情なモノです。

だって「自分がお笑いでのし上がりたい!」と思ってもお客さんに求められていないと分かれば、即座にその意思を殺さなければいけないからです。そんな決断なかなかできないですよ。

そして自分の中にある現状の野望や理想の優先順位を更新・変更し、そちらにまたギアを入れ直す。これがすごい。普通、自分が目指したものの適正(才能やセンス)が脅かされて、諦めるようなことがあった時、だれしも一度は絶望すると思うんです。

燃え尽き症候群的に抜け殻になってしまったり、それがきっかけで自暴自棄になって妥協続きの選択をしてしまったり、平常でいられなかったり、何に対しても身が入らなくなってしまったりとかね。

渡部さんもそういう時期や感情があったのかもしれませんが、そこから見事に切り替えて更新された自分の理想(お笑いから文化人的な活動へのベクトル変更)に対してトップギアで取り組んできたのだと思います。

これは恐らくお笑いに対してもしっかりストイックにやり残したことがないと思えるところまでやったからこそ、辿り着けるのではないかと思います。

渡部さん以外にもこういった決断を人生の分岐点でやってきた人を知っていますが、それまでに悔いの残らないほど打ち込んできた人は皆新しい道を歩き出す際も晴れやかな面持ちでした。

時々で自分が信じた道に全力で走ることは難しいです。なぜなら多くの人は失敗を恐れるからです。こんなに必死に取り組んだのに報われなかったらどうしよう、なんて考えてしまいます。確かに精一杯取り組んでも結果や成果がでないのは悲しいですよね。

でも、失敗を恐れず、もしくは失敗を恐れていても全力で自分が納得いくまで走る抜けることで成果や結果が出なくとも、結果的に晴れやかに次の道をまた全力で走る出すことができます。失敗を恐れない人ほど、失敗に翻弄されない、というのは因果なものですね。

僕は【何かの天才】より仮に凡才であっても “失敗を恐れず、その時々で全力で取り組むこのスタンス” を体現している人の方がカッコイイと思います。それができるということは常に自分がやりたいことや好きなことをドンドン見つける力があるからです。

そしてその力があるからこそ「俺にはお笑いしかない!これで成功できないなら死ぬ!」みたく視野が狭くならず、「じゃあ次はこれでチャレンジしてみよう」と前向きな切り替えができるのです。

彼より【お笑い】で上をいく天才は数々います。ダウンタウン、さんまさん、ビートたけし、紳助さん、有吉、千原ジュニア、、、でもみんな自分の理想を追って、自分の好きなことを形にできた【天才】です。

でもいかに【天才】と言えど、彼ほどある意味では非常な決定を淡々とこなしている人はいないと思います。

個人的には天才の能力にはあまり魅力を感じないのです。もちろん突出した能力は見ていて面白いんですが、そこに行き着く過程に魅力がないんですよね。

好きなことを好きなだけやって上達する。それはそれで素晴らしいですが、それは僕には少し単純でつまらなく感じます(実際、ダウンタウンやさんまさん、たけしさん、などの天才がそうであるかは知りませんが)。

もちろん僕も天才的に面白い芸人さんは好きですよ。でも渡部さんの方が僕は素敵と思います。だって天才は戦略(作戦)使わないですから。純粋な戦力だけで勝っていけるので。

アメトークで渡部さんがいじられている時も周りの芸人から『小細工で売れただけで渡部自体はあんまり面白くない』みたいな雰囲気を感じますが、これも渡部さんが “敢えて” そんな風にいじりやすい空気を作っている印象を持ちます。

敢えてその空気を作るというか、「ま、芸人だけどそこで勝負してないしね、好きなだけいじって」みたいな。器のでかさと余裕を感じます。(僕の勝手な予想ですが)

でも、人によっては小細工とも取れるような【勇気ある戦略】が彼の強さであり魅力です。普通怖くてできないです。『お笑い芸人なのにお笑いで勝負しない』未知の分野の開拓ですからね。

『お笑いのセンスをひたすら磨く』ってことは多分どんな芸人さんもやっていると思うんです。確かに『お笑い一筋、他の仕事は取りたくない』みたいな主義も聞こえはいいですが、でもそれでその人が満足できていないなら、少し考え方を広げてもいいんじゃないかと思います。

自分で可能性を狭めないで、お笑い以外にも他にもやれること、やりたいことがないか考えてみようよ。渡部さんを見てるとそんな風に思ってしまいます。

インタビューでは続けてこんな風に語ってます。

僕はキャラも立っていないし、丸腰で出ていって瞬発力でトークしたりもできないタイプ。だったら、みなさんの興味のありそうな情報を持っていたほうが、重宝がられるんじゃないかなと。

2007年に、たぶん芸人は誰もやっていないラジオの帯の生放送番組をやり始めたのを皮切りに、夜景鑑賞士の資格を取ったり、恋愛心理学を勉強したり。特にグルメは、ニーズもライバルも多い。中途半端は嫌だから、年間500軒食べ歩くようになりました。その延長線上で、徐々にMCのオファーが来るようになったんです

http://style.nikkei.com/article/DGXMZO16072010Y7A500C1000000?channel=DF280120166614より引用

『自分のビジネスは自分以上に成長しない』なんてよく言われますが、渡部さんはその時その時で求められている自分像を読み取って、それと自分の理想をうまく調和(止揚)させて、そこに向けて全力で努力をしています。

これは自分を客観視できる高い力と、時々で全力で取り組める柔軟性の出せる技です。

・自分の勝てない部分とは違うところで活動(つまり勝てるところで活動)

・お客さんが求めていることをやる

・他の芸人がやっていないことをやる

(その全てと自分のやりたいことを兼ねる)

僕たちは渡部さんのワークスタイルからこんなことを学び、活かしていくことができるのではないでしょうか。

すごく勇気がいることでついつい目をそらしてしまいがちですが、自分のことをしっかり客観視できないとこういう視点にはなれません。

皆さんもこの機会に自分を振り返ってみては?

それでは。

P.S

昨晩、テレビをつけたら彼がMCの音楽番組がやっていました。

ゲストはサンボマスター。何気なく眺めていたら、話題は彼らのルーツミュージックに。

ブルーハーツ、真心ブラザーズ、イースタンユース。

僕は特にイースタンが好きなんですが、この中で一番マイナーなのもイースタンなんですね。

でも、割としっかり渡部さんは相槌打ったり、話題に乗るんですよね。

まあ多分渡部さんもイースタン知らないと思うんですが、収録前にYouTubeチェックするくらいはしてそうだな、と。

Mステのタモさんや、HEYHEYHEYの松っちゃん浜ちゃん、うたばんのタカさん中居くん(ちょっと古いな)あたりじゃこんな共感しないよな、、多分「知らないけど、別にいいでしょ?」みたいな。

そんなこと考えてたら、無性に渡部さんのこと書きたくなりました。

シェアする

フォローする